[2025_12_03_05]政府が語る「原発再稼働しないデメリット」って本当? 民間団体が丁寧に試算すると、ミスリードが浮き彫りに(東京新聞2025年12月3日)
 
参照元
政府が語る「原発再稼働しないデメリット」って本当? 民間団体が丁寧に試算すると、ミスリードが浮き彫りに

 06:00
 政府は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に向けた新潟県への説得材料として、化石燃料の総輸入額を「年間約26兆円」と示した上で、「国富の流出」を抑制できると主張してきた。だが、NPO法人「原子力資料情報室」が化石燃料の輸入額の内訳を試算すると、火力発電向けは約7兆円だ。識者からは、再稼働による輸入抑制効果は限定的との指摘も出ている。

 ◆化石燃料輸入代26兆円が「流出」したかのように

 「エネルギーを巡る状況は大変厳しい。自給率は15%で石油危機前の水準できわめて脆弱(ぜいじゃく)。高付加価値品の輸出で外貨を稼いでいるが、それに匹敵する費用で化石燃料を購入している」

 県議会で10月、意見聴取に臨んだ経済産業省資源エネルギー庁(エネ庁)の村瀬佳史長官は再稼働の必要性をこう説いた。提出資料には「2023年に車などの輸出で稼いだ約28兆円の大半が、化石燃料輸入の約26兆円で流出」「火力発電に依存している現状では燃料価格の上昇が電気料金の高騰に直結する」などと記されていた。
 原発が再稼働しないために、26兆円が流出しているとの誤解を招きかねない内容だが、化石燃料は発電用だけではなく、プラスチック製品やガソリンに使う石油なども含まれる。

 ◆エネ庁が算出困難と言った「発電用の金額」は…

 発電用のみの輸入額を東京新聞がエネ庁に聞くと、担当者は「化石燃料を輸入するときに発電所で使うなどの区別をしておらず、発電用を金額ベースで積み上げることは困難」と回答した。
 そこで、NPO法人「原子力資料情報室」に試算を依頼。情報室...(後略)
KEY_WORD:KASHIWA_: