[2025_12_08_07]核融合「原型炉」誘致へ、青森県知事が表明 六ケ所村「圧倒的優位」(東奥日報2025年12月8日)
 
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核融合「原型炉」誘致へ、青森県知事が表明 六ケ所村「圧倒的優位」

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 次世代エネルギーとして研究開発が進む核融合発電を巡り、宮下宗一郎青森県知事は8日、発電を実証する「原型炉」の誘致を表明した。むつ小川原開発地区(六ケ所村)での建設実現を目指す。原型炉は茨城県も誘致の意向を示しているが、宮下知事は広大な土地や豊富な水資源などを例に挙げ、「(青森県には)圧倒的な優位性がある」と強調した。

 核融合発電は、政府が6月改定の国家戦略で「2030年代の発電実証を目指す」と打ち出した。高市政権も早期実現に向け、スタートアップ(新興企業)などの研究開発を支援。県は誘致を見据え、7月に有識者会議を設置していた。
 宮下知事は「フュージョンエネルギー(核融合)の産業化を巡る国際競争を勝ち抜き、日本と世界の技術イノベーションの中核拠点を目指したい」と述べ、県内に産業・研究開発機能の集積を図る考えを示した。国や関係機関、国内外の新興企業に対するトップセールスを通じ、「若い人たちが目指す産業にしたい」と拠点化へ意欲を語った。

 日本も参加してフランスで建設が進むITER(イーター)は、原型炉の前段階に当たる「実験炉」。六ケ所村には量子科学技術研究開発機構(QST)の核融合炉の研究施設があり、原型炉の設計などが行われてきた。宮下知事は豊富な研究実績を含め「(立地は)青森県をおいて他にはない」とアピールする。
 誘致を巡っては、10月に茨城県の大井川和彦知事が「原型炉の設置を国に強く働きかける」と表明。同県那珂市には実験装置「JT60SA」がある。原型炉の実施主体や候補地選定の手法は現時点で未定だが、国は近く議論を始める方針。

 民間主導で35年の運転開始を目指す計画では、100ヘクタールの工業用地が必要とされる。むつ小川原開発地区は1600ヘクタールを有する。県は同地区へのデータセンター集積も目指すが、宮下知事は「両方造っても余りある土地があるので、同時並行で頑張る」と述べた。
 宮下知事は17、18日にフランスで、核融合関連の会議に歴代知事として初めて出席する。
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