| [2025_11_29_03]泊原発の再稼働容認、道議会紛糾 評価二分、野党は「議会軽視だ」(毎日新聞2025年11月29日) |
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07:15 鈴木直道知事が北海道電力泊原発3号機(泊村)の再稼働容認を表明した28日、道議会の与党からは知事の考えを評価する声が上がる一方、野党からは「議会軽視だ」などと追及が相次いだ。道庁前や傍聴席では、再稼働に反対して批判の声を上げる市民の姿も。泊原発の今後が最大の焦点となる「再稼働議会」は、議論初日から紛糾した。 論戦冒頭から予想外の展開となり、議場と傍聴席はざわめいた。 鈴木知事は、自民党・道民会議の滝口直人議員の一般質問で、再稼働の同意に関し「今定例会での議論を踏まえ総合的に判断する」と述べたが、直後に「最終的に判断する」と訂正。共産党道議団の真下紀子議員が「最重要な政治判断であり追加説明を求める」と指摘し、約20分間の中断後、鈴木知事が「読み間違えた」と訂正理由を説明した。 鈴木知事の容認の意思表明に対し、滝口氏は「早期に再稼働の方向性が示されることで、脱炭素電源の安定供給や電気料金引き下げの見通しが明確になる」として、投資や雇用の拡大など経済効果を期待した。 「道民の意思を十分に把握できたと考えているのか」とただした民主・道民連合の中川浩利議員に対し、鈴木知事は「道主催の説明会で不安や懸念の声が寄せられた。道民の声を受け止め、判断の参考とする」と回答。ただ、答弁全体を通じて「今定例会での議論を踏まえ最終的に判断する」と繰り返す姿も目立ち、中川氏は「議論を尽くすと言いながら時間を区切っている。考えを明らかにして数日のうちに結論を出すのは議会軽視だ」と指摘した。 傍聴席には市民約70人が集まり、鈴木知事が再稼働を「現実的な選択」と述べると、「現実的じゃないでしょ!」とのヤジも。札幌市の笹山浩子さん(73)は、鈴木知事の「電気料金引き下げが見込まれる」との説明に、「電気代が1000円安くなるのと安全を引き換えにはできない」と眉をひそめた。 一般質問の開始直前、道庁前では再稼働に同意しないよう鈴木知事に求めるデモも行われた。約90人が「知事は道民の声を聞け」などと主張。参加した札幌市の団体職員の男性(35)は「知事はずっと賛否を曖昧にしてきたのに、道民の疑問へアンサーもないまま突然同意の方針を示した。だますような行為だ」と批判した。 この日は、泊原発周辺の岩内町の木村清彦町長が町議会で再稼働への同意を表明。閉会後、「議会の決定を真摯(しんし)に受け止め、住民の思いも聞いた上で全町的な視点で判断した」と述べ、安全対策として避難道路の拡充に取り組む考えを示した。傍聴した同町の女性(74)は「暮らしていく上で電気は必要だから(再稼働は)仕方ない」と話した。 泊原発を巡っては、安全性に問題があるとして運転差し止めなどを求める民事訴訟の控訴審が札幌高裁で係争中だ。原告側弁護団は「2022年の札幌地裁判決では、施設が安全性の基準を満たさないとして差し止めが命じられた。審理が続く中、知事が再稼働を容認したことは拙速で不適切な判断で、非常に残念」とのコメントを出した。【後藤佳怜、片野裕之、森原彩子】 |
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