[2025_12_05_07]「業務集中で試験省略」 東北電東通原発 不正開始時の所員(東奥日報2025年12月5日)
 
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「業務集中で試験省略」 東北電東通原発 不正開始時の所員

 04:00
 東北電力東通原発(東通村)で発覚した監視装置性能試験の架空記録を巡り、同社青森支店は4日の定例記者会見で、不正行為が始まった2018年度当時の発電所員が、年度末に性能試験の業務が集中したため、試験を省略した−と釈明していることを明らかにした。業務は年度内に終わらせる計画だったという。
 発電所員はセンサーやカメラなど侵入対策装置の性能試験を未実施にもかかわらず、架空の試験記録を作成。後任の所員にも引き継がれ、不正は約7年に及んだ。性能試験は装置の動作確認だけでなく、複数の侵入パターンを想定し複雑な検知が可能かを検証する。
 試験業務は、協力会社の保守点検による動作確認後の年度末に集中する傾向にあった。発電所員は東北電の聞き取りに「(協力会社の)点検で機能確認ができれば、試験を省略できると考えた」と話したという。
 下屋敷聡・執行役員青森支店長は会見で「社員への教育不足、管理職のマネジメントが良くなかった」と説明。試験に関する手順書の見直し、管理職の関与強化に言及した。東北電が24年に再稼働を果たした女川原発(宮城県)で、同様の不正は確認されていない。
 4日の県議会常任委員会では、吉俣洋委員(共産党)が「原因究明と再発防止に真撃に取り組んでいると判断できるまでは、再稼働への動きは認めるべきではない」と指摘。県の担当幹部は「国は東北電に根本原因分析の報告を(26年2月末までに)求めており、対応状況を厳しく見極めたい」と答えた。(佐々木大輔)
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