[2025_12_01_01]温泉水分析で判明、能登地震の引き金「地下の水」は太平洋プレートから? 研究手法は南海トラフ予測でも期待(TBS2025年12月1日)
 
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温泉水分析で判明、能登地震の引き金「地下の水」は太平洋プレートから? 研究手法は南海トラフ予測でも期待

 19:15
 温泉水を分析することで能登半島地震のメカニズム解明に取り組んでいる富山大学などの研究グループは、地下に沈み込んだ太平洋プレートから染み出した水が上昇して、一連の群発地震を引き起こした可能性があると発表しました。

 震度7の地震のおよそ半年前には地殻にひずみが溜まっていたことも分かり、研究グループは地震の前兆だった可能性があるとしています。

 珠洲市周辺では、震度7を観測した2024年元日の能登半島地震の前から3年間にわたって活発な群発地震が続いていて、研究者の間では地下深くから上昇してきた水のような流体が活断層に流れ込み、断層を滑りやすくすることで地震を引き起こしている可能性が指摘されていました。
 富山大学や金沢大学などの研究グループは、珠洲市内で温泉水を採取し、中に含まれる成分を分析したところ、地球内部のマントルに多く含まれるヘリウムが検出されたということです。

 地震の原因になったとみられる水のような流体は、太平洋プレートから染み出したか

 温泉水に含まれるヘリウムは、マグマが冷えて固まる過程で放出されたとみられます。

 富山大学理学部・鹿児島渉悟助教「地下に溜まっている流体がより深くマントルから供給されていることはほぼ間違いない」

 地震の原因になったとみられる水のような流体は、日本列島の下に沈み込む太平洋プレートから染み出し、上昇したとみられることも分かりました。

 写真:能登半島の地下構造:高いヘリウム同位体比の供給経路

 富山大学理学部・鹿児島渉悟助教「太平洋プレートが沈み込んでそこから脱水したものとマントルの成分が混ざって上がってきたことによって水が供給されている」
 研究グループが温泉水の成分を比較したところ、能登半島地震のおよそ半年前に地殻にひずみが生じ、ヘリウムの値に大きな変化があったことも明らかになりました。

 研究者「ひずみは能登半島地震の前兆だった可能性」

 富山大学の鹿児島渉悟助教は、ひずみは能登半島地震の前兆だった可能性があるとしています。

 富山大学理学部・鹿児島渉悟助教「1月の大地震があったがその前に温泉のヘリウム同位体比が下がっていたことが分かった。半年前に群発地震に伴って地殻の変形、ひずみが蓄積して地殻・岩石からひびが入り脱ガスしてそのガスが温泉水に溶け込む。それを大量に取り込んだ過程があったと解釈することができる」
 研究グループは、現在も2か月に1度のペースで温泉水の採取を続けていて、近い将来、巨大地震の発生が予想されている南海トラフ沿いなどでも同じ手法で観測すれば地震の予測につなげられると期待しています。
KEY_WORD:能登2024-地震メカニズム_:NOTOHANTO-2024_:珠洲原発_: