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「後発地震」を警戒 政府、備えの再点検呼びかけ 青森震度6強
　11:18
　8日午後11時15分ごろ、青森県八戸市で震度6強の地震があった。震源は青森県東方沖で震源の深さは54キロ。地震の規模はマグニチュード（M）7・5と推定される。総務省消防庁によると9日午前10時半時点で、負傷者は30人（北海道10人、青森県20人）。青森市で住宅火災が1件あった。

　気象庁と内閣府はこの地震を受け、巨大地震の発生可能性が平常時より相対的に高まったとして、9日未明に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。発表から1週間、対象の住民に防災対応を呼びかける。
　日本海溝・千島海溝地震に関する注意情報が出るのは、2022年12月の運用開始後初めて。注意の対象は、事前に指定されている北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の7道県182市町村。

　地震は、北海道と東北沖に延びる日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域で発生。詳しく分析したMが7以上だったため、注意情報を出す条件を満たした。
　今回の地震の震源域と同じ領域で、さらに大きな「後発地震」が起きる可能性がある。政府は対象地域の住民に対し、津波警報が出たらすぐに逃げられるように避難場所や経路を確認すること、水や食料の備蓄や家具の固定といった備えの再点検を求めた。1週間は通常の社会活動を続けながらも、すぐに避難できる準備をするよう呼びかけている。

　気象庁によると、青森県で震度6強を観測したのは現在の観測体制になった1996年10月以降初めて。

　同県八戸市で震度6強、同県おいらせ町と階上町で震度6弱を観測。震度5強は同県野辺地町、七戸町、東北町、五戸町、南部町、むつ市、東通村、北海道函館市、岩手県軽米町、一戸町で観測した。一夜明けた9日も一連の活動が続いている。青森県内では道路の陥没や建物の損傷が確認され、上水道の断水・漏水の情報が寄せられている。
　気象庁は北海道太平洋沿岸中部、青森県の太平洋沿岸、岩手県に津波警報を出したほか、北海道沿岸の東部、西部、青森県日本海沿岸、宮城県、福島県に津波注意報を出した。9日午前2時までに、いずれも最大波で岩手県久慈市で70センチ、北海道浦河町で50センチ、青森県八戸市と同県六ケ所村で40センチ、北海道えりも町で30センチなどが観測された。

　政府は、今回の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」について、2年に1回程度は発表が見込まれるとしている。また、M7級の地震が起きた後に、M8級以上の巨大地震が起こるのは100回に1回程度とされる。
　このため、注意情報が発表されたからといって必ずしも大規模な地震が起きることを示すわけではなく、住民に事前避難までは求めない。鉄道や店舗などの休止も求めず、通常の社会活動を続けながら対策を取ることになる。

　日本海溝・千島海溝沿いでは過去、11年の東日本大震災（M9・0）をはじめ大地震が繰り返し起きている。政府の想定では、M9級の地震が日本海溝で起きれば死者は最大19万9000人、千島海溝なら最大10万人とされる。

　赤間二郎防災担当相は9日の記者会見で、午前8時半時点で北海道、青森県、岩手県の計11カ所に避難所が設置され、計35人が避難していると明らかにした。【最上和喜、深津誠】