| [2025_12_10_04]開始3年 浸透乏しく 初の後発地震注意情報 「予知でない」冷静対応必要(東奥日報2025年12月10日) |
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04:00 気象庁が、北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表した。2022年12月の運用開始から間もなく3年で、地域社会への浸透がいまだ不十分な中、初ケースとなった。経済活動の制限や、巨大地震が起こる前に事前避難を求める仕組みではないものの、観光産業などに影響が広がり始めた。専門家は「巨大地震への危機感は必要だが、地震を予知しているわけではなく、落ち着いて行動してほしい」としている。 「観光を控える客が出てくるだろう。7月のロシア・カムチャツカ半島沖の地震と違い、今回は日本で大きな揺れもあった。年末年始に向けて影響が収まればいいのだが」。日本三景の一つ、宮城県の松島。観光物産館では9日の利用客は前日に比べ半減し、店長を務める井上博文さん(53)は不安を隠せなかった。この先も遊覧船の予約のキャンセルが相次いでいるという。 注意情報は、北海道から岩手県沖にある日本海溝・千島海溝で、精査したマグニチュード(M)が7以上の地震が起き、後発の巨大地震が発生する可能性が高まった際に発表される。気象庁によると、今後1週間に大規模な地震が発生する可能性は、平常時の約0・1%に対し、発表された際は約1%に上がる。 最大の課題は認知度不足だ。東大大学院の関谷直也教授(災害情報論)の研究チームが24年11〜12月に実施したインターネット調査では、全国の約9千人のうち注意情報を「知っていた」と答えたのは21・5%。「知らなかった」は56・9%に上った。対象地域に限っても「知っていた」は29・3%で、「知らなかった」の49・1%と差がついた。 気象庁で9日未明に開かれた記者会見。地震火山技術・調査課の原田智史課長は注意情報を発表し「最悪のケースでは3・11のような地震が起きると想定し、あのようなことが再び起きないとも限らないと考え、備えをするのが必要かと思う」と強い表現で求めた。 注意情報導入の背景は、M9・0だった11年の東日本大震災の2日前、M7・3の前震が起きていたのに、その後の大地震への注意喚起が乏しかったという苦い経験だ。 気象庁は注意情報について「不確実性が高い」としつつも「警戒レベルを上げることで被害軽減を図り、多くの人命を守る」と意義を強調する。通常の生活を続けながらも、日頃からの備えを再確認し、揺れを感じたり津波警報が発表されたりしたら、すぐに避難できるよう準備しておくことを呼びかけている。 東大の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は「注意情報は、たった1%だが巨大地震が起こる可能性が高まっていることを示している。いつでも避難できるよう対策し、命を守る行動を取ってほしい」と強調する。 「冬の夜に発生すると、避難できても寒さで命を落とすケースもある」と指摘し、使い捨てカイロや衣類といった防寒グッズの用意や、移動が難しい高齢者らは事前の避難を検討するなど、状況に応じた対策の重要性を訴える。 |
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