[2025_12_05_05]「県民に直接聞いて」議論注視の傍聴席から怒りの声…知事のわずか2分50秒説明に失望も【柏崎刈羽原発の再稼働容認】(新潟日報2025年12月5日)
 
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「県民に直接聞いて」議論注視の傍聴席から怒りの声…知事のわずか2分50秒説明に失望も【柏崎刈羽原発の再稼働容認】

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 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を容認する花角英世知事の判断を巡り、県議会で4日、代表質問が行われ、本格論戦が始まった。花角知事の2日の所信表明を受けた主要3党会派による代表質問では、関心を寄せる県民らが傍聴席で議論を注視。花角知事は自らの判断について「県議会に信を問う」と繰り返したが、納得できない傍聴者から「県民に直接聞いて」などとヤジが飛ぶ場面もあった。

 代表質問で質疑が集中したのは、知事の信の問い方について。花角知事を支える最大会派の自民党が、県議会に問うとした知事の考えに賛意を示した一方、他の2会派は「著しく不適切」などと反発した。
 「県議会は知事と共に県民の代表であり、監視機関でもあることから信を問うのは適切」と淡々と答弁を繰り返した花角知事。傍聴席からは「ごまかしだ」「県民に問うてください」などの声が上がった。

 活発な議論を期待していたという新潟市中央区の50代女性は「台本を読み上げるようなやりとりが続いた」と残念がる。答弁中のヤジについて「よくない行為かもしれないが、ここでしか県民の声を直接伝えられないという思いからでは」とおもんぱかった。
 花角知事は、来年の知事選や県民投票を選ばなかった理由について「投票は分断が深まるとの指摘も踏まえた」と語った。

 この答弁に対し、柏崎刈羽原発の再稼働の是非を県民投票で決める条例の制定を求めた署名活動で中心的なメンバーの一人だった新潟市西区の主婦(67)は「的外れだ」と憤る。「県民一人一人が考え、じっくり議論し、投票で意見を可視化するほうがむしろ納得感につながると思う。県民投票が分断をあおるかのように言うのはおかしい」と語気を強めた。
 一方、2日に花角知事の所信表明を傍聴席で聞いた人からは、県議会に信を問うことを肯定的にみる意見もあった。

 初めて県議会を訪れたという新潟市北区の無職男性(80)は「原発再稼働は賛成、反対だけで解決できない難しい問題。県民の代表の県議会に信を問うなら、それはそれでいい」と感じたという。議論は県外からも注目されている。
 2日の所信表明では、福島県会津若松市の無職男性(77)も傍聴席で耳を傾けていた。男性は「東電福島第一原発事故は現在進行中」とし、その当事者の東電に再び原発を運転する資格はないと考えている。

 花角知事は2日に県議会で初めて再稼働容認を表明したが、説明時間はわずか2分50秒ほど。男性は「深い説明を聞けず残念。インターネット中継でも議論を追い続ける」と話した。(後略)

 (12月5日「新潟日報」より抜粋)
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